中小企業1社につき1人のマーケターが伴走支援することをあたりまえに。

「Web制作のスキルを身につければ、時間や場所に縛られず自由に稼げる」
そう信じて学習を終えたものの、いざクラウドソーシングで提案しても全く案件が取れない。あるいは、運よく受注できても安い単価で買い叩かれ、疲弊している。
この記事にたどり着いたあなたは、フリーランスや副業としての第一歩を踏み出したものの、こうした「案件獲得の壁」にぶつかっているのではないでしょうか。
結論からお伝えします。あなたが案件を取れない理由は、単なる「スキルの不足」ではありません。最大の原因は、「指示されたものを作る作業者(=会社員マインド)」のままビジネスをしようとしていることにあります。
本記事では、未経験からでもWeb制作案件を獲得し、単発の消耗戦から抜け出して「継続受注」を実現するための具体的な営業・契約のステップを、Webサイト運用事業経営者の視点から本質的に解説します。
著者情報・Profile

栃本常善
TSUNEYOSHI TOCHIMOTO
ローカルビジネス(地元密着の事業者)に特化したWebマーケティング会社「株式会社マーケティング・エッセンシャルズ」の代表、ローカルマーケターコミュニティLoMaJin発起人。累計90業種600社以上のWebマーケティングに関与。累計セミナー登壇数300回以上、IT専門学校でマーケティング講義を2年間歴任。主な著書「ローカルビジネスのためのWebマーケティングが基礎から学べる本」など2冊がある。

Web制作とは、単におしゃれで綺麗なWebサイトを作ることではありません。クライアントのビジネスにおける課題(集客したい、売上を上げたい、採用を強化したいなど)を解決するための「手段」です。
Web制作のプロジェクトは、複数の専門的な役割を持つメンバーによって進行します。
| Webディレクター | クライアントから課題や要望をヒアリングし、サイトの設計図作りから進行管理までを行う、いわば「現場監督」です。 |
| Webデザイナー | 設計図をもとに、ターゲットユーザーに響く視覚的なデザイン(配色、レイアウトなど)を制作します。 |
| コーダー(フロントエンドエンジニア) | デザイナーが作ったデザインを、Webブラウザ上で正しく表示・動作するようにHTMLやCSSなどの言語を使って構築します。 |
| Webライター | サイトに掲載するキャッチコピーや文章を執筆し、読者の行動(問い合わせや購入)を促します。 |

フリーランスや副業で活動する際、自分がどのポジションを目指すかで得られる収入の桁が変わります。各職種の平均的な単価や年収相場は以下の通りです。
| Webディレクター | 1案件あたり:15万円〜40万円 平均年収:453万円 |
| Webデザイナー | 1案件あたり:15万円〜20万円 平均年収:384万円 |
| コーダー(フロントエンドエンジニア) | 1案件あたり:5,000円〜10万円 平均年収: 384万円 |
| Webライター | 1記事あたり:数千円〜数万円(文字単価0.5円〜5.0円) |
データが示す現実はシンプルです。
言われた通りに手を動かす「下流工程(作業者)」よりも、クライアントの要件を引き出し、成果の責任を持つ「上流工程(ディレクター層)」に近づくほど、単価は高くなる傾向にあります。ライターやデザイナーとして経験を積んだ後、ディレクターへキャリアアップすることが収入を安定させる王道ルートの一つです。
また、小規模なサイト制作であればチームを組まずとも、フリーランスのデザイナーやコーダーがディレクションも行いサイト制作をすることもあります。
参照元:転職サービス「doda」 年収の高い職業は? 平均年収ランキング(職種・職業別の平均年収/生涯賃金)【最新版】(2025年12月時点)
参照元:ランサーズ「仕事の種類・参考価格」

クラウドソーシング等で募集されている案件の多くは「即戦力」を求めています。
基礎的なHTML/CSSの知識だけでなく、WordPressの構築やスマートフォン対応など、実務で求められる最低限のスキルレベルに達していないと、発注者側はリスクを感じて依頼しにくいのが現実です。
見ず知らずのフリーランスに仕事を依頼する際、クライアントが最も気にするのは「この人は本当に作れるのか?途中で投げ出さないか?」という点です。自身のスキルを客観的に証明するポートフォリオ(作品集)がない状態での営業は、武器を持たずに戦場に出るようなものです。
実は、これが最も致命的な理由です。
多くの駆け出しフリーランスは、「100%自己責任」という経営者マインドが欠如しています。会社員であれば、待っていても仕事は降ってきます。
しかし独立すれば、自ら相手の課題を深掘りし、「私ならこう解決できます」と提案しなければ仕事はゼロです。自分のスキルだけをアピールする自分本位な営業では、選ばれることはありません。

「早く稼ぎたい」と焦る気持ちはわかりますが、営業前の準備は大切です。
以下の3つを必ず用意してください。
まず、「何のためにこの事業をやるのか?」というビジョンを言語化してください。
ここがブレていると、目先の小銭を稼ぐための安売り競争に巻き込まれます。「地元の飲食店をWebの力で元気にしたい」など、事業目的を明確にすることが経営者としての第一歩です。
その上で、現在の自分にできること・できないこと(スキル)を正確に把握します。
架空のサイトでも構わないので、あなたのスキルを証明するポートフォリオサイトを作成します。
ディレクターやコーダーであれば、制作したサイトのリンクをまとめて掲載するサイトを準備しましょう。デザイナーであれば、「foriio(フォリオ)」や「Canva」などに制作した画像を貼り付けていつでも提示できるようにしておきます。
この時、ただ綺麗に作るのではなく、「なぜこのデザインにしたのか」「どんな課題を解決する意図があるのか」というコンセプトまで言語化して掲載してください。
これが「思考できる制作者」であることの証明になります。


「いくらでやりますか?」と聞かれて口ごもるようでは、主導権を相手に握られ、買い叩かれます。
「誰に」「何を」「いくらで」「どのように」提供するのか、自身のビジネスモデルを明確にした料金表(メニュー)を必ず準備してください。
適正な価格設定を自ら提示することが、対等な立場で交渉するための絶対条件です。
Web制作の仕事は、大きく分けると「下請け(制作会社から仕事をもらうルート)」と「直請け(お店や企業から直接仕事をもらうルート)」の2種類があります。
それぞれの特徴を理解して、今の自分のスキルや状況に合った戦い方を選びましょう。
Web制作会社や広告代理店から、コーディングやデザインといった作業の一部を任せてもらうスタイルです。
| メリット | デメリット |
| お客さんとのやり取りや全体の進行管理(ディレクション)は制作会社がやってくれるため、自分は「作る作業」に集中できます。一度信頼されると、「次もお願い!」と継続的に仕事をもらいやすいのが魅力です。 | 制作会社(仲介)を通すため、直接受けるよりも単価が安くなりがちです。また、指示された通りに作るケースが多く、自分のアイデアを提案する余地は少なくなります。 |
| メリット |
| お客さんとのやり取りや全体の進行管理(ディレクション)は制作会社がやってくれるため、自分は「作る作業」に集中できます。一度信頼されると、「次もお願い!」と継続的に仕事をもらいやすいのが魅力です。 |
| デメリット |
| 制作会社(仲介)を通すため、直接受けるよりも単価が安くなりがちです。また、指示された通りに作るケースが多く、自分のアイデアを提案する余地は少なくなります。 |
飲食店や美容室などの小規模事業者や、中小企業などの「ホームページを作りたい人」から直接仕事をもらうスタイルです。
| メリット | デメリット |
| 間に別の会社が入らないため、その分単価が高くなります。また、自分のデザインやアイデアがお客さんのビジネスに直接反映されるやりがいがあります。 | 単に作るだけでなく、最初のヒアリングや提案、スケジュール管理、納品後のトラブル対応まで、すべての責任を自分一人で負うプレッシャーがあります。 |
| メリット |
| 間に別の会社が入らないため、その分単価が高くなります。また、自分のデザインやアイデアがお客さんのビジネスに直接反映されるやりがいがあります。 |
| デメリット |
| 単に作るだけでなく、最初のヒアリングや提案、スケジュール管理、納品後のトラブル対応まで、すべての責任を自分一人で負うプレッシャーがあります。 |
実績ゼロの状態からステップアップしていくための具体的な行動方法を8つ紹介します。
クラウドワークスやランサーズなどを利用します。
競合が多く低単価になりがちですが、実績作りと割り切って挑戦するには最適です。
初期段階で最も受注確度が高い方法です。
ただし、「友達だからタダ同然でやって」という依頼を受け続けると疲弊します。
あらかじめ用意した料金表をベースに、「プロとして」交渉する姿勢を崩さないでください。
一定のスキルが身についたら、エージェントに登録し営業を代行してもらいます。
週2〜3日の案件などもあり、安定した収入基盤を作るのに役立ちます。
Web幹事やミツモアなどのプラットフォームを利用します。
ニーズが顕在化している案件にアプローチできますが、価格競争になりやすいため、提案力(他社との違い)が問われます。
スクールのコネクションを利用して初案件を獲得する方法です。
最初のハードルは下がりますが、自力で新規開拓する営業力そのものは身につきにくい点に留意しましょう。
経営者が集まる異業種交流会やオンラインサロンに参加します。
決裁権を持つ経営者と直接繋がるため、実は高単価な直請け案件はこうした泥臭いリアルな人脈から生まれることが非常に多いです。
自分の制作実績や知見を継続的に発信し、向こうから依頼が来る(インバウンド)状態を作ります。
成果が出るまでに時間や労力がかかりますが、最強の営業資産になります。他の方法と同時進行がオススメです。
制作会社の問い合わせフォーム等にポートフォリオを添えて直接アプローチします。
パートナーとして認められれば、安定した下請け案件のパイプラインになりますが、ハードルはかなり高めです。

案件を獲得した後、プロとしてどのようにプロジェクトを進めるべきか。特に重要なのは「ヒアリング・調査分析」です。
Webサイトを作って失敗する最大の原因は、デザインに走って「リサーチ」をサボることです。
市場(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)を徹底的に分析する3C分析を行い、「誰に、どんな強みを伝えるサイトなのか」というコンセプトを固めること。ここが、集客できる(成約率の高い)サイトになるかどうかの分かれ道です。

フリーランスは誰も守ってくれません。
ビジネスの基盤として、以下の防衛策を必ず講じてください。
納品後に「やっぱり払えない」「連絡が取れない」という事態を防ぐため、プロジェクト開始前に総額の半額などを「着手金(前受金)」として請求するルールを設けましょう。
デザインやコーディングが進んだ後での大幅な仕様変更は、あなたの時給を著しく低下させます。契約段階で「デザイン確定後の仕様変更は別途見積もり」「無料修正は〇回まで」と明文化しておくことが必須です。
「言った・言わない」のトラブルを防ぐため、業務範囲、納期、報酬額、支払い条件などを網羅した業務委託契約書を必ず交わしてください。
2024年秋に施行された「フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」により、発注側の企業には、業務委託の内容や報酬額、支払期日などの取引条件を書面やメール等でただちに明示することが義務付けられています。法律によって保護される権利として、発注時に必ず条件の明示を求め、証拠を残すことが自分を守る唯一の盾になります。
参照元:厚生労働省・公正取引委員会「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(フリーランス新法関連情報)

最後に、フリーランスとして生き残るための最も重要な戦略をお伝えします。「忙しいのに儲からない」状態に陥るのは、仕事が「納品=終了」で設計されているからです。
単発の制作(狩猟型)を続けている限り、毎月新規客を探し続ける消耗戦から抜け出せません。
Webサイトは公開してからが本番です。
制作時にSEOやMEO、広告運用などの「仮説検証・改善サイクル」をセットで提案し、月額固定の運用支援(サブスクモデル)の獲得を目指してください。
最初は実績がなくて当然です。
それなら、まずは「何でもやるWeb担当者」として、月額固定の業務委託契約(月30時間で数万円など)から入り込むのも戦略です。
サイトの更新、SNS投稿、簡単なバナー制作など、泥臭い業務を通じて信頼を積み重ねることが、次の高単価な依頼へと繋がります。
指示通りにコードを書く、デザインを作るといった「作業」は、今後AIによってますます代替されていくと予測されます。
クライアントの目標から逆算して施策を提案し、プロジェクト全体を牽引できる「伴走支援者(ディレクター層)」へシフトすること。
自分の提供価値を「作業量」から「判断・設計」に変えることこそが、市場で代えのきかない存在になり、継続的に案件を獲得し続けるための本質的な答えです。
著者情報・Profile

栃本常善
TSUNEYOSHI TOCHIMOTO
ローカルビジネス(地元密着の事業者)に特化したWebマーケティング会社「株式会社マーケティング・エッセンシャルズ」の代表、ローカルマーケターコミュニティLoMaJin発起人。累計90業種600社以上のWebマーケティングに関与。累計セミナー登壇数300回以上、IT専門学校でマーケティング講義を2年間歴任。主な著書「ローカルビジネスのためのWebマーケティングが基礎から学べる本」など2冊がある。