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Web制作のストック収入|最初に月額へ変えるのは、新規客ではない
制作売上への依存を下げるとき最初に月額へ変えるのは新規客ではないことを解説する記事のアイキャッチ

「仕事はあるのに、毎月ゼロから積み直している感覚が抜けません」

制作を続けている方から、こうした声をよく聞きます。

このとき、多くの方はまず新しい商品を考えようとします。サブスクのメニューを作る、コンサルを始める、といった発想です。ただ、その前にやっておくことがあります。いまの売上のうち、制作がどれくらいを占めているのかを数えることです。

制作は、納品すれば終わる売上です。今月2本受注できていても、その売上は来月には残りません。案件が1件ずれるだけで、その月の構成は崩れます。作業量を増やしても手元のお金が増えない構造については、作業を増やしても利益が増えない理由に整理しました。

この状態が続くと、

「予算が厳しいので、この金額で受けてもらえませんか」

「納期を2週間早められませんか」

と言われたときに、断るという選択肢が消えます。来月の予定表が埋まっていないので、条件の合わない仕事でも受けるしかなくなるからです。

だからといって、制作をやめる必要はありません。下げるのは売上の金額ではなく、制作売上が全体に占める比率です。ここを取り違えると、いま食べていける売上まで削ることになります。

この記事では、

  • いまの制作依存度の数え方と、目標にする水準の決め方
  • 誰に、どの順番で継続の提案をするか
  • 断られたときに、次にやること
  • 制作を止められない期間の資金の回し方

を、今月から手をつけられる順に解説します。

制作以外の売上を積み上げ、年商1億円超えを2年間続けてきた経験をもとに、2026年6月時点の実務としてまとめます。

結論

  • ・制作売上への依存は、新しい商品を作る前に「今の比率を数える」ところから下がります。
  • ・国の調査では、主な契約1本に収入の8割以上が乗っているフリーランスが59.4%です。まず自分の位置を数字にします。
  • ・目標は「制作を何%まで下げる」ではなく、「継続売上で毎月の固定費を賄える金額」に置きます。理想比率という業界標準はありません。
  • ・提案する順番は既存客→過去客→紹介→新規。新規開拓は最後です。断られた相手は、次の提案先になります。

この記事に出てくる金額の例は、いずれも自社の契約・指導実績にもとづくもので、市場の相場を示すものではありません(2026年6月時点)。

目次

まず、自分の制作依存度を数える

制作依存度は、請求書1年分を「制作/継続/その他」の3列に割れば今日出せます。

国の調査では、主な契約1本に収入の8割以上が乗っているフリーランスが59.4%です。まず自分の比率を数字にします。

フリーランスが感じている障壁の1位は「収入が少ない・安定しない」でした。59.0%です。

2位が17.2%なので、大きく離れた1位です。回答者は7,478人でした。

出典はフリーランス実態調査(内閣官房/令和2年5月公表・2020年2〜3月調査)です。

ただし、この数字はあなたの依存度を教えてくれません。

不安な人が多いことは分かります。あなたが今どれだけ制作に乗っているかは、分かりません。

国の数字は、自分の数字ではありません。だから請求書を数えます。

国の調査では、1つの契約に8割以上が乗る人が59.4%

主な契約から得ている収入が、全収入に占める割合を国が調べています。

100%を占める人が45.3%、80%以上100%未満が14.1%。合わせて59.4%です(令和4年8月・n=2,119)。

出典は令和4年度フリーランス実態調査(内閣官房・公正取引委員会・厚生労働省・中小企業庁/令和4年8月)です。

ここで気をつける点が1つあります。これは「1社に依存している人の割合」ではありません。

「主な契約1本」への依存です。同じ相手と契約を3本持っている人と、1社1本の人では意味が変わります。

国の調査が示しているのは、1社への依存ではなく、1つの契約への依存です。

取引先の数も出ています。直近1年の取引先が「1社のみ」だった人は40.4%でした(2020年2〜3月調査・n=3,234)。

半分近くが、1つの契約に収入の全部を乗せています。100%と答えた人が45.3%いるからです。

ただ、この数字を安心材料にしないでください。「みんなそうだから大丈夫」ではありません。

だから自分の数字を出します。

請求書1年分を「制作/継続/その他」の3列に割る

やることは4つです。

①去年1年分の請求書を並べます。②下の表の基準で3列に割ります。③金額を合計します。④比率を出します。

会計ソフトを使っているなら、売上台帳をCSVで書き出せば30分で終わります。

区分入れるもの
制作納品で終わる仕事サイト制作・LP
継続毎月請求する仕事保守・運用支援
その他単発の作業修正・撮影・相談

迷ったものは「その他」に入れて先へ進んでください。

完璧に分けようとすると、途中で止まります。精度より、今日中に比率が出ることのほうが大事です。

集計はこの形にします。空欄を埋めるだけです。

区分年間金額比率
制作%
継続%
その他%
請求書1年分を制作・継続・その他の3列に割って比率を出す手順の図。依存は感覚ではなく比率で見る

比率まで出せば、この記事の残りは全部使えます。出していないと、どこから手を付けるかが決められません。

数えるときに間違えやすい3つ

1つ目。件数ではなく金額で数えます。件数で見ると、保守10件が大きく見えます。

たとえば月5,000円の保守が10件なら、年間で60万円です。制作1本のほうが大きいことは珍しくありません。

2つ目。納品後の追加・修正は「制作」に入れます。毎月請求していないものは継続ではありません。

3つ目。同じ1社から毎年制作を受けていても、継続ではありません。それは制作の繰り返しです。

「あそこは毎年やってくれるから」は、契約ではなく期待です。来年の保証がありません。

講座で受講生に、同じ集計をしてもらったことがあります。「継続もそこそこあります」と話していた人の継続比率が、実際には1割を切っていました(自社の指導実績/2026年6月時点)。感覚と数字は、たいていずれています。

「抜けた」と言えるラインを、先に決める

目標は「制作売上を何%に下げる」ではなく、「継続売上で毎月の固定費を賄える金額」に置きます。

制作と継続の理想比率という業界標準は存在しません。自分の固定費から逆算した金額だけが、判断に使える線になります。

なぜ目標を継続売上で置くのか。理由は、今ある契約が来月も続く前提になっていないからです。

同じ令和4年度の調査で、主な契約の更新についても聞いています。

「更新を期待することはない」が31.6%、「更新になじまない契約」が30.6%。合わせて62.2%です(令和4年8月・n=2,119)。

これは「解約されやすい」という意味ではありません。そもそも更新を前提にした契約ではないという意味です。

だから、続く売上は自分で作るしかありません。目標はそこに置きます。

「制作◯:継続◯」の理想比率は存在しない

先に正直なところを書いておきます。Web制作業の売上を「制作」と「運用」に分けて継続的に調べた国の統計は、いまのところ存在しません。経済産業省の情報通信業基本調査も売上を制作と運用の別では取っておらず、業界団体が標準値を公表しているわけでもありません。

つまり「理想の比率はこれです」と数字を挙げている記事は、その数字の出どころを持っていないことになります。根拠のない比率を目標に置けば、達成できたところで判断の材料になりません。

そこでこの記事では、業界の平均値を1つも出さず、自社の契約・指導実績にもとづいて書きます(2026年6月時点)。あなたが目標に使える線は、自分の固定費だけです。

固定費から逆算する

手順は3つです。

①毎月の固定費を出します。生活費と事業経費の合計です。

②その額を継続売上だけで賄うと決めます。ここに制作売上は入れません。

③何社×いくらかに割ります。ここで初めて社数が出ます。

このとき、逆算の起点を売上目標に置かないでください。売上目標は年によって上下しますが、固定費はほとんど変わらないからです。土台として安定しているぶん、固定費のほうが目標として使えます。

固定費が月30万円なら、月10万円の顧問が3社。ここが最初の線になります。

社数月額年間
3社30万円360万円
5社50万円600万円
8社80万円960万円

この表は、固定費から必要額を割り戻した逆算の例です。金額はいずれも自社の契約・指導実績にもとづくもので、市場の相場・将来の予測・成果の保証のいずれでもありません(2026年6月時点)。

毎月の固定費30万円を顧問1社の月額10万円で割り、必要な社数3社を出す逆算図。目標は比率ではなく固定費を賄う金額

最初の目標を「月10万円の顧問を3社」に置く理由

帯を決めているのは、関与の深さでも契約期間でもありません。実務代行が入るかどうかです。

保守と更新代行だけの契約は、月3万円前後が天井です。これは顧問型ではありません。

提案とレポートが中心で、実行が最小限なら月5〜8万円。ここが顧問型の入口です。

そこにコラム記事の作成・投稿、ページ作成、サイト運用代行といった実務代行が入ると、月10〜15万円になります。

だから最初の目標は月10万円です。作りやすく、成果も出しやすい帯です(自社の契約・指導実績/2026年6月時点)。

月5万円から始めるなら、実行を入れない形にしてください。実行を入れたまま5万円にすると、稼働だけが増えます。

組み合わせは1通りではありません。月50万円を作る形は複数あります。

月10万円×5社でも、月15万円×3社+月5万円×1社でも、同じ月50万円です。

どの中身をいくらで組むかは、月額メニューを6つの部品で組む手順にまとめています。

提案する順番は、既存客→過去客→紹介→新規

提案する順番は既存客、過去客、紹介、新規です。新規開拓は最後にします。

すでに信頼がある相手ほど提案が通りやすく、移行の初速はここで決まります。狙うのは、サイトはあるが放置されていて、成果を誰も見ていない相手です。

移行が止まる原因は、営業力ではありません。順番です。

やりがちな失敗は、いきなり新規開拓に行くことです。広告を出す、SNSを始める、交流会に通う。

知らない人を集めるところから始めると、時間もお金もかかります。制作をやりながらでは続きません。

新規開拓は最後にします。

提案する順番を既存客・過去客・紹介・新規の4層で示した図。新規開拓は最後にする

4つの層を上から見ていきます。

既存客は、今も取引がある相手です。連絡すれば返事が来ます。

過去客は、納品したあと連絡が途切れている相手です。3年前の納品先でも構いません。

紹介は、既存客や知人から信頼を引き継いだ相手です。ゼロからの説明が要りません。

新規は、あなたを知らない相手です。ここは最後で足ります。

制作者は、一番難しい入口をすでに突破している

新しくコンサルを始める会社は、信頼をゼロから作る必要があります。

あなたは違います。相手のサイトを作り、業種を理解し、担当者と話せる関係がすでにあります。

これは営業で最も時間がかかる部分です。制作という入口を持っている人は、ここを飛ばせます。

コンサルは特別な才能ではありません。「作った後を一緒に見る人」になることです。

3条件で既存客リストを仕分ける

全員に提案しないでください。3つの条件で仕分けます。

条件見分け方揃うとどうなる
サイトが放置更新が半年ない話す材料がある
成果が未確認数字を見ていない最優先で提案する
担当がいない窓口が社長契約が続きやすい

見分け方は、サイトを開けば分かります。お知らせの最終更新日と、窓口になっている人の肩書きを見るだけです。

3つ全部が揃う相手から連絡します。2つなら後回し、1つ以下なら今期は外します。

中小企業やローカルビジネスには、この状態の会社が少なくありません。

勉強会でこのワークをやると、3社書き出せない人はほとんどいません。足りないのは相手ではなく、仕分けです。

提案しない相手を先に決める

外す相手を先に決めると、リストが短くなって動き出せます。

外すのは3つです。社内にWeb担当がいる会社。制作の単価だけで発注先を選んでいる会社。こちらからの連絡に返信が来ない会社。

「いつか提案する」を残さないでください。外した相手は、今期は外します。

リストが20社あると、誰にも連絡しないまま月末が来ます。3社なら今日連絡できます。

案件の取り方そのものは、継続案件を取るまでの全体の流れにまとめています。

切り出し方は、売り込みではなく問いかけから

最初の一言は「月額サービスを始めました」ではありません。「あのサイト、作った後に問い合わせは増えていますか」という問いから入ります。

相手が自分で課題に気づいたあとでないと、提案は検討の土俵に乗りません。

売り込むと身構えられます。

「月10万円の顧問サービスを始めました。いかがですか」。この形で切り出すと、相手は値段の話として受け取ります。

問いかけは違います。相手が自分の状況を思い出すところから始まります。

提案の流れは4ステップです。

ステップ言うこと目的
1 現状確認成果は見えていますか課題に気づいてもらう
2 放置リスクこのままだと、もったいない動く理由をつくる
3 解決策毎月一緒に数字を見ませんか役割を提示する
4 プラン提示内容と金額を出す選んでもらう
提案の4ステップを吹き出しで縦に並べた図。現状確認・放置リスク・解決策・プラン提示の順に進める

②で気をつける点が1つあります。否定しないことです。

「このサイトでは問い合わせは増えません」と言うと、作った自分を否定することにもなります。

そうではなく「もったいない」と言います。「良いサイトなのに、作っただけで止まっているのがもったいなくて」。

④は3つ用意して、選んでもらいます。1つだけ出すと、やるかやらないかの話になります。

プランの中身と見せ方は、プランを3つ用意するときの見せ方で扱っています。

最初の一言は「増えてますか?」だけでいい

用意するのは提案書ではありません。問いを1つだけです。

「そういえば、あのサイト作った後、問い合わせって増えてます?」

たいてい「実は分からなくて」と返ってきます。ここで会話が始まります。

相手が自分で課題に気づいた瞬間に、提案は検討されます。気づいていない相手に提案しても、比較検討にすら乗りません。

期間は、提案の時点で伝える

期間は契約前に伝えてください。あとから言うと、言い訳に聞こえます。

3〜6か月で、何が効いていて何が効いていないかが分かります。

6か月までは、アクセスから成約までの仕組みをつくる期間です。回収の時点ではありません。

6〜12か月で、少し成果として回収できます。12か月以降で、改善のPDCAが定着します。

だから提案書の1枚目は、1年の目標数値になります。

先に伝えるほど、6か月目の解約が減ります。「まだ出ないのか」が「想定どおり」に変わるからです。

ここまでの「誰に、どの順で、どう切り出すか」を、そのまま自分の提案に使える形にまとめた資料を無料で配布しています。

提案書のひな形、ヒアリングシート、運用管理シート、継続収入モデルMAPが入っています。

断られたときに、何をするか

断られるのは失敗ではありません。断り文句は「今は必要ない」「予算がない」「社内でやる」「様子を見る」の4つに集約されます。

どれも次の一手が決まっていて、断った相手はそのまま次の提案先になります。

先に前提を置きます。提案は、断られる前提で設計します。

1社目で決まる前提で組み立てるから、断られた瞬間に止まります。3社に出して3社とも断られたときにどうするかは、提案を出す前に決めておく話です。

断られるのは失敗ではなく情報です。

言われたこと本当の意味次の一手
今は必要ない判断材料がないレポートを1回出す
予算がない優先順位が低い今の支出と並べる
社内でやります費用を減らしたい3か月後に一度聞く
様子を見ます見る数字がない数字を出す提案に変える
断られたあとの行動を比較した図。値下げや連絡停止で止まる側と、記録して3か月後に聞く側

「今は必要ない」と言われたとき。これは要らないという意味ではありません。

必要かどうかを判断する材料が、相手の手元にないだけです。

だからレポートを1回だけ出します。先月のアクセス数と問い合わせ数を1枚にして渡します。

注意

  • 無料で出すのは1回だけにしてください。
  • 無料で続けると、その状態が翌月からの基準になります。
  • 2回目からは「毎月これを出す契約です」と、金額を添えて渡します。

「予算がない」と言われたとき。これは予算の話ではなく、優先順位の話です。

今払っている費用と並べてください。サーバー代、広告費、チラシ、求人媒体。

その中でどこに置くかという話に変われば、金額の議論から抜けられます。

「社内でやります」と言われたとき。ここは断らずに引きます。

やり方を渡して「困ったら声をかけてください」で終わります。3か月後に一度だけ、進み具合を聞きます。

社内でやると決めた会社に3か月後に聞くと、止まっていることが多くあります(自社の支援実績/2026年6月時点)。

止まったときに思い出してもらえる場所に居ることが、ここでの仕事です。

「もう少し様子を見ます」と言われたとき。様子を見るための数字が、そもそもありません。

だから提案を切り替えます。契約の中身を「数字が見える状態にする」ことだけに絞って、出し直します。

断り文句は4つしかない

上の4つのうち、「あなたの提案が悪い」と言っているものは1つもありません。

「今は必要ない」「様子を見ます」「予算がない」の3つは、相手に判断材料がないことが原因です。

だから次の一手はほぼ共通です。材料を出します。

提案の中身を作り直す前に、材料を1つ出したかどうかを確認してください。

値下げで通した契約は、値下げで終わる

断られた瞬間に一番出やすい手が、値下げです。月10万円を月5万円にすれば通ることもあります。

ただし通ったのは提案ではなく、値段です。安さで取った顧客は、安さで去ります。

次に安い相手が現れたら終わります。そして下げた金額が、あなたの新しい基準として残ります。

値下げの代わりに、範囲を狭めます。実行を外して、提案とレポート中心の形にします。

金額ではなく中身で調整します。そうすれば、実行を戻すときに金額も戻せます。

月額そのものの決め方は、値下げする前に見る、保守費用の決め方にまとめています。

同じ断り文句が3回続いたら、相手の選び方を疑う

記録するのは3項目だけです。誰に、いつ、どの断り文句だったか。

紙でもスプレッドシートでも構いません。3列あれば足ります。

同じ断り文句が3回続いたら、直すのは提案ではありません。相手の選び方です。

「様子を見ます」が3回続くなら、成果を誰も見ていない相手を選べていません。3条件に戻ります。

断った相手は、次の提案先です。関係を切らないことが、移行の速度を決めます。

制作を止められない期間を、どう回すか

移行中は制作を止められません。国の調査では、フリーランスの報酬の支払は後払いが47.8%で、着手金払いは2.0%です。

制作は納品してから入金まで時間がかかり、継続契約は積み上がるまで時間がかかります。この時間差を先に見ておきます。

資金の谷は、売上が減ってできるのではありません。入金までの時間差でできます。

項目制作継続
入金納品の後毎月
着手金ほぼ取れていない前払いにできる
途切れ方案件が終われば止まる解約まで続く

フロー型とストック型という言い方をしますが、実務で効いてくる違いはこの3行です。

制作は案件が終われば止まります。継続は解約まで続きます。

そして制作の入金は納品の後です。移行中は、この2つが同時に走ります。

制作と継続の入金タイミングを時間軸で比べた図。制作は納品後に1回、継続は毎月で前払いにできる

注意

  • 1年目は、制作売上を減らさない前提で計画してください。
  • 比率が下がるのは、分子(制作)が減るからではなく、分母(継続売上)が増えるからです。
  • 分子を減らして下げると、比率だけは良くなって、中身はただの減収になります。

着手金2.0%・後払い47.8%が、移行を止める

報酬の支払時期も、国が調べています。後払いが47.8%、定期払いが24.8%、前払いが2.0%、着手金払いが2.0%でした(令和4年8月・n=2,119)。出典は同 令和4年度フリーランス実態調査 報酬の支払時期(p.17)です。

つまり、着手金を取れている人は50人に1人しかいません。

つまり制作は、納品してから入金まで時間がかかります。その間も家賃も生活費も出ていきます。

だから「制作を減らして提案に時間を使う」が、現実には選べません。

これは意志の問題ではありません。入金の構造の問題です。

提案の時間を、週に固定する

同じ調査で、他の仕事を掛け持ちしていない人は66.1%でした。

その理由の48.2%が「掛け持つ余裕がない」です。空いた時間にやろうとすると、永久に空きません。

だから先に固定します。週に2時間で足ります。

制作の見積工数から先に抜いて、カレンダーに入れてください。あとから確保しようとすると消えます。

2時間でできることは決まっています。既存客リストの仕分けを1回か、連絡を1〜2本です。

継続契約は、月初の前払いにする

継続契約は、最初から月初の前払いで設計します。あとから支払時期を変えるのは、値上げと同じくらい面倒です。

制作は後払い、継続は前払い。この2つを組み合わせると、月内の入金の谷が浅くなります。

支払期日を口頭で決めないでください。金額、範囲、支払期日は、メールでも構わないので文字で残します。

どこまで来たら「依存から抜けた」と言えるか

抜けたと言える線は3つです。継続売上だけで毎月の固定費を賄えている。1つの契約に売上が集中していない。来月の売上が今月のうちに見えている。

この3つがそろった時点で、制作は「やらないと困る仕事」から「選べる仕事」に変わります。

結論

  • ・継続売上が、毎月の固定費以上になっている(固定費から逆算して決めた線)
  • ・1つの契約に売上が集中していない(最初に数えた3列の比率で見る)
  • ・来月の売上が、今月のうちに見えている

判定に使わないものも、先に決めておきます。

年商、案件数、フォロワー数、制作実績の本数。どれも増えますが、来月の売上が読めるかどうかとは関係がありません。

制作は、やらないと困る仕事から、選べる仕事に変わります。

3つの判定を、毎月同じ場所で見る

判定は年1回ではありません。毎月です。

最初に作った3列の集計に、毎月末に1行足すだけにします。作業は5分で終わります。

制作・継続・その他の比率が12か月ぶん並ぶと、変化が見えます。

1か月では動きません。数え続けている人だけが、下がったことに気づけます。

抜けた後、制作は「選べる仕事」になる

継続売上が固定費を超えると、安い制作を断れます。断れると、単価が上がります。

制作1本は50万〜100万円の帯です(自社の契約・指導実績/2026年6月時点)。

そして、制作をやめる話ではありませんでした。抜けた後も制作は残ります。

残り方が変わるだけです。制作は入口として残り、契約の中から改修やページ追加として出てきます。

選べる状態になったあとの制作が、一番利益が出ます。

まとめ

結論

  • 依存は感覚ではなく比率です。請求書1年分を「制作/継続/その他」の3列に割ります
  • 目標は比率ではなく、継続売上で毎月の固定費を賄える金額です。理想比率という業界標準はありません
  • 提案の順番は既存客→過去客→紹介→新規。狙うのは3条件がそろう相手です
  • 断られるのは失敗ではなく情報です。断り文句は4つで、次の一手は決まっています

金額の例はいずれも自社の契約・指導実績に基づくものです(2026年6月時点)。

制作をやめる必要はありません。下げるのは比率です。

そして比率は、数えた人しか下げられません。

今日やることは1つだけです。去年1年分の請求書を開いて、「制作」と「継続」の2列に金額を足すところまでやってください。

たいてい、思っていたより制作に寄っています。そこが出発点になります。

よくある質問

ストック収入は月いくらから作れますか?

提案とレポートが中心で実行が最小限なら、月5〜8万円が入口です。

コラム記事の作成・投稿やサイト運用代行などの実務代行が入ると、月10〜15万円になります。最初の目標は月10万円の顧問を3社です(自社の契約・指導実績に基づく目安/2026年6月時点)。

制作をやめないと移行できませんか?

やめません。1年目は制作を減らさない前提で計画します。

比率は、分子である制作を減らすのではなく、分母である継続売上を増やして下げます。減らして下げると、ただの減収になります。

移行にはどのくらいの期間がかかりますか?

期間を保証できる数字はありません。提案してから相手が判断するまでにも時間がかかります。

契約後に何が効いているかが分かるのは3〜6か月です。だから月単位ではなく、1年単位で計画してください。

既存客がほとんどいない場合はどうすればいいですか?

過去客に戻ります。3年前の納品先でも連絡して構いません。

ただし全員に連絡しないでください。サイトが放置、成果が未確認、社内に担当なしの3条件で先に仕分けます。

保守契約はストック収入に数えていいですか?

数えて構いません。ただし保守と更新代行だけの契約は月3万円前後が天井です。

固定費を賄うところまで積み上げるには本数が要ります。実務代行が入ると帯が変わります(自社の契約・指導実績に基づく目安/2026年6月時点)。

一度断られた相手に、もう一度提案していいですか?

して構いません。3か月後に一度だけ、状況が変わったかを聞く形にします。

同じ内容で追わないでください。同じ断り文句が3回続く場合は、提案ではなく相手の選び方を見直します。

【メイン】

制作売上への依存を下げるための資料一式を無料で配布しています。

提案書のひな形、ヒアリングシート、運用管理シート、継続収入モデルMAPが入っています。

【第2CTA】

・同じ課題の仲間と続けたい方へ → LoMaJinコミュニティ

栃本常善(とちもと つねよし)

株式会社マーケティング・エッセンシャルズ 代表取締役/Webマーケティングコンサルタント

中小企業1社につき1人のWebマーケターが伴走支援する状態をつくることを目標にしています。Webサイトの運用支援と、制作者が運用支援者へ移行するための講座を運営しています。

→ [栃本常善のプロフィール](/profile/)

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投稿者プロフィール

栃本常善

ローカルビジネスWeb集客の専門家としてこれまで90業種以上600社超の企業や店舗、個人のWeb制作〜マーケティングに関与。「中小企業1社につき1人のWebマーケターが伴走支援することを当たり前に」をミッションに、ローカルマーケターコミュニティ「Lomajin」を運営。全国各地で中小企業に寄り添って活躍するWeb支援者を多く輩出するために、「Webサイト運用支援者養成講座」にも注力している。

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